チェコ料理レシピ第3回 ディルのスープ 「クライダ」Kulajda

Ma Vlast 115号(2021.01)

チェコ料理研究家 村田祐生子

今月はスープです。クライダとの出会いは90年代の初め、ヴルタヴァ沿いでプラハ城の眺めの良かったレストラン「パルナス」で。「ディルのスープはいかがですか」と勧められ、ディルの香り、バターの風味、ビネガーの酸味と何とも言えない甘みが混然一体となったチェコ料理の味わい深さに初めてに魅了された一品です。南ボヘミアにルーツを持つ、家庭料理です。小麦粉とバターを炒めたいわゆるブールマニエ(チェコ語ではjíška  イーシュカといいます。)をブイヨンで伸ばして作るチェコのスープの代表選手です。具として入れるキノコの種類や、卵の煮方など家庭より様々なレシピがあります。大統領府の料理人も務めた大使館のシェフ、カルピーシェックさんにご自分の家の味をおしえていただいたのでご紹介します。

キノコのスープのポイントは生のキノコの扱いにあります。キノコは別鍋で塩をせず油だけて炒めて加えてください。スーパーのキノコがヨーロッパのキノコの味に早変わりします。もう一つの主役は卵です。ポーチドエッグを浮かべるとチェコの味にぐっと近づきます。  

  

山中湖の菜園で育てた」ディル

材料(5人前)

強力粉 大さじ 3  バター 大さじ3

水 またはコンソメ 1リットル小麦粉 50g  

ジャガイモ 中サイズ 5個  2-3センチの角切りにする                  

生キノコの薄切り 両手いっぱい (エリンギ、生シイタケなど)

卵 4個                                       

生クリーム(乳脂肪分33パーセントのもの)200ml

ビネガー 大さじ2

ディル 小さいパック売りのもの2

ローリエ、クミン 砂糖・塩・胡椒

                                    

つくり方

1. 鍋にバターを入れ溶かし、なべ底に広げる。小麦粉を加えよく混ぜながら、香りが立ち、薄く色づくまで炒める。そこに水をいれ、泡立て器でよく混ぜる。

2. 1.にジャガイモを加え、ローリエ、クミンを加える。キノコは別の鍋で、サラダ油でいためて(塩はしないこと!)加える

じゃがいもが柔らかくなるまで10-15分くらい煮る。

3. ローリエを鍋から取り出す。生クリームと塩、胡椒をしてディルを加える。砂糖とビネガーで味を調える。

この砂糖とビネガーの味がポイントです。少しづつ加えながら好みの味を探ってください。カルピーシェックさんはこの分量でビネガーと砂糖を大さじ2づつ入れるそうですが、本当に「お好み次第 」とのことです。                                

4.トッピングとなる卵はゆで卵でもOKですが、チェコ料理の正統派はポーチドエッグを浮かべます。

  ポーチドエッグの作り方 

・深めの小鍋にお湯を沸かし、酢を50ccほど入れます。

・卵をひとつカップなどに割り入れます。

・木べらでお湯を一方向にかき混ぜ、小鍋の中に渦を作り、中心に卵をそっと入れます。

・弱火で3分ほど煮て、静かにとりだし、スープに浮かべます